法話へ

6月16日から放送

阿弥陀さまにおまかせできる身
はい、長念寺テレホン法話です。
 中国の四川大地震で信じられないほどの多くのいのちが失われた事実に驚愕
したばかりなのに、この14日には岩手・宮城内陸地震が発生しました。
私たちの住む大地が、如何に不安定なものかを思い知らされたような気がします。
 親鸞聖人の晩年に、全国的な大飢饉があり、その上に疫病がはやったために多くの
人々がなくなりました。関東の念仏者のまわりも、同じように、思いがけない悲惨
な死に合う人々がいました。
 思いがけない身内の死に巡り合い、混乱する人々の叫びの中で、乗信房は、お念仏
の教えにふれる事もなく亡くなっていってしまった人々について、ただ見ている事
ができずに、「阿弥陀さまの御はからいによって必ずお浄土に往生されるのですよ」
と家族や周囲の人々にお話ししているが、それは誤りかどうかということを
親鸞聖人に手紙で尋ねられたのです。
 聖人は、乗信房へのお返事の中で、そのような時にどのような行動をとったらよい
のかを丁寧に教えてくださっています。聖人、八十八歳の時のお手紙です。
 そのお手紙の中で親鸞聖人は、「老若男女、多くの人々が亡くなることは誠に
いたわしいことですが、生身の人間であるからには、縁にふれれば死を迎えなけれ
ばならないという生死無常のことわりを避けることはできないのです。うろたえて
はなりません」と、まず、人々の動揺をおさえておられます。
 そして、「私は、臨終の善し悪しは言いません」と述べておられます。
飢饉の上に疫病という状況の中で、「なぜ、このような死に方をしなければなら
ないのか」という叫び、また「あのような死に方ではうかばれないのでは」
という周囲の迷いが人々の心の中に錯綜していたことを見通してのお言葉です。
 親鸞聖人は続いてこのように述べておられます。
 「信心が決定している人ならば、疑いがなければ、すでに阿弥陀さまのお力に
よって往生が定まっている立場にいるのです。そうであればこそ、
無明の闇の中でさまよい、阿弥陀さまの存在さえも知らないような人であって
も、必ず阿弥陀さまに救われていのちを全うしていくのです。あなたが
『阿弥陀さまの御はからいによって必ずお浄土に往生されるのですよ』と
人々にいっていることは私の考えと違ってはおりません」と。
 だからこそ、臨終の善し悪しを心配する必要はないのです。
 そして、聖人は、決して学者ぶった論議をしてはいけない。
阿弥陀さまの御はからいを信じて安心して亡き人を送り、自身も阿弥陀さまに
おまかせできる身となれるように導いていくべきであると説かれています。
 次の法話テープの交換は7月1日です。