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平成22年3月1日〜

無関心?
はい、長念寺テレフォン法話です。この度は長男の教善が貴重なご縁を頂きました。
 皆さん、旅行や観光など良くされているでしょうか。私は現在京都に住んでいますが、全くと言っていいほど観光をしていません。神奈川にいるときは、あっちに行ってみたいこのお寺に行ってみたいとよく思うものではありますが、いざ京都に住んでみますとどうにも、重い腰が持ち上がりません。
 それは、どこの国でも同じ事のようなのです。最近みたニュースの中に、イタリアの文化財・文化活動省がとても思い切った観光誘致キャンペーンを行ったという記事を目にいたしました。
 内容はローマ市内にあるイタリアの文化遺産である円形闘技場コロッセオが解体され、クレーン車によって運び出されているシーンのポスターが出現した。ミラノではレオナルド・ダビンチの「最後の晩餐」が、フィレンツェではミケランジェロの「ダビデ像」がクレーン車によって運び出されている最中の衝撃的なポスターが、街頭広告で市内に現れたというものでした。
 実際にはそんなことはありません。大切に今も同じ所に保管されているのですが、どうしてこのような衝撃の大きいポスターを作ったのでしょうか。イタリア政府によると、文化遺産があまりにも身近にありすぎて訪れることの少ないイタリア人に対する「ショック療法」だ。とのことだそうです。ローマ市内の29%の人がコロッセオに訪れたことが無く、少なくとも年に一回美術館に訪れるイタリアの方は29%くらいというデータもあるそうです。イタリア政府のねらいとしては、再度文化遺産に目を向けてもらい誇りと関心を呼び起こすところにあったそうです。
 私たちは、身近にあるものを常に存在していると考えがちです。私も、つい最近まで大学生で私がこのように法話をさせていただく機会など無いと考えていましたが、有り難くも機会に恵まれました。
 このように、物事や私たちは常に移り変わりを繰り返して少しの間もとどまることがないのです。これを仏教では諸行無常という言葉で表します。これは、仏教の根本的な思想の一つです。
 私たちには誇ることの出来るような文化遺産など多くの大切なものを持っています。そういったものを、大切にしていかなければならないのはよく分かっています。しかし、それすらも出来ていない私がいることに気がつきます。
 私も、京都に居るうちに多くの寺院に参拝観光して、今の私にみることの出来る京都を味わってみたいとこの尊い機会を頂いて感じさせていただきました。
 次回のテープの交換は3月16日です。