法話へ
チベット問題の民主的な解決を望む

4月1日〜

はい、長念寺テレホン法話です。
 中国チベット自治区ラサで3月14日に起こったチベット僧とそれを支持する市民による抗議デモは、16日には中国国内各地に波及しました。鎮圧にあたった警察との衝突で多くの犠牲者がでたとのことです。その後、中国治安当局の摘発により多くのチベット僧らが拘束されています。28日にも四川省でチベット僧が100人以上拘束されたとの情報もあります。そして、29日にもラサで数千人が抗議行動をしたとの情報もあります。治安当局の摘発にもかかわらず抗議行動が繰り返されている模様です。
 中国政府は一貫してダライ・ラマ派の北京オリンピックの妨害工作だとして、暴動鎮圧の姿勢を崩していません。チベットで、またその他の地域で何人の犠牲者があったか、そしてどのような摘発が行われ何人が政治犯として拘束されたか、その実態は分かりません。それは中国政府が報道を規制し管理しているからにほかなりません。私たちが見ることのできる映像は、中国政府側のものであり、その姿は暴動という破壊活動の情景です。一連の構図は、昨年ビルマで起きた僧侶による抗議行動に伴う出来事と共通しています。
 私たちは、暴動鎮圧との姿勢を崩さない中国政府に抗議します。そして、報道の制限をなくし、チベット問題の民主的な解決を希望します。
 今回の事件から、イージス艦「あたご」の衝突事件や農薬入り冷凍餃子問題を連想します。事実を前にして、役人がどのように動いたか。イージス艦の件では、当初言い訳のできないような現実にもかかわらず、防衛省が事故を有利な方向に展開しようとして国会での答弁が二転三転しました。冷凍餃子問題での中国の姿勢は事実の解明ということよりも、最初に結論ありきの政治的対応に終始しています。しかし、事実を隠し政治的に解決する手法は、独裁的政権の内部では通用するかもしれませんが、国際的には信用の失墜に繋がります。
 今回の事件で、多くのいのちが失われた事実を消し去る事はできません。現在見えてくるのはチベット仏教への弾圧の構図です。それは中国政府のダライ・ラマ14世への姿勢からも明らかです。1950年の人民解放軍によるチベット制圧以降、中国政府にとってチベットの漢文化への同化政策は、内政問題として重要課題なのでありましょう。しかしそれが、半世紀以上を経ても、いまだにチベットの人びとに歓迎されていない事実があらためて表面化したのです。中国政府にとってダライラマの存在がこの問題の最大の障害になっているとの認識なのだと思います。しかし、もしこのままチベット仏教文化が破壊されていくとしたら、中国政府への信頼が一気に消滅されていく事と思います。
 [この度のチベットの混乱は、北京オリンピックの開催が近づいたので起こるべくして起こった出来事なのでしょう。世界の注目を集めている中国です。民主的に、そして国際社会が納得する形で、より良い解決に向う事を心から望みます。(読まず)]
 次の法話テープの交換は4月16日です。