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平成22年1月1日

してはいけないこと(タブー)
はい、長念寺テレホン法話です。
 明けましておめでとうございます。今年も長念寺テレホン法話をよろしくお
願いいたします。
 年末年始になりますと、テレビやラジオから初詣のコマーシャルが流れ、
「厄除け」ということばが当たり前のように聞こえてきます。さて「厄」とは
なんでしょうか。「災い」の一種なのでしょうが、よく分かりません。その上
なぜ年齢が関係あるのでしょう。
 しかし、意味はよく分からないがそれを信じる人が多いのは現実です。
 中世の日本では、「ものいみ」など占いまじないは、ひとびとの生活から切
り離すことができませんでした。それは平安文学の中にも色濃く表れていま
す。そして平安時代から鎌倉時代へ移る動乱の時代、戦乱や頻発する自然災害
の中で、「ものいみ」などの迷信が、人々の心を支配していきました。
 そのような時代において、親鸞聖人は、お念仏のみ教えを説く中で、迷信に
翻弄される人々をその束縛から開放していきました。
 ですから、親鸞聖人を宗祖とする浄土真宗の門徒は、因果の道理にあわない
占いまじないなどの迷信に関わらないできました。そのため、他宗の人々から
「門徒もの知らず」と批判されることもありました。浄土真宗以外の方々から
見ますと、お正月に関しても、門松を飾らないとか、しめ飾りをしないなど非
常識のようにに見えるからだと思われます。
 しかし、門徒の立場から言いますと、いわゆる縁起物などのしきたりには、
占いやまじないなど因果の道理にあわないものに起因するものが多く、する必
要が感じられないのです。また念仏ひとつで救われると聞いていますのに、そ
のようなことに関わることは親鸞聖人が否定された雑行雑修の道に勤しむこと
になってしまうからでもあります。
 ただし、最近では、ご門徒から教えに則った生活をするという前向きな姿勢
で、「浄土真宗でしてはならないことを教えてください」と問われることがあ
ります。
 その答えは、「浄土真宗では、基本的にタブー(してはいけないこと)はあ
りません」となります。親鸞聖人は、「ものいみ」などのタブー(禁忌)から
人々を開放したのです。私たちにとって基本的なスタンスは、浄土真宗だから
「してはいけない」のではなく、浄土真宗の教えを信じる私にとって、「用が
ないからしない」ということなのです。お守りも御札も破魔矢も用がないので
す。
 お正月、新年を寿ぐ思いには変わりありません。初詣は所属のお寺や、普段
法座などご縁をいただいているお寺にぜひお参りください。ただし祈願のため
のお参りではありません。
 次の法話テープの交換は1月16日です。