足るを知る
はい、長念寺テレフォン法話です。この度も長男の教善がお話しをさせていただきます。
やっと気候が落ち着いて暖かくなってきたかと思うと、暑くなったり、また逆に寒く
なったりと、どうも不安定な陽気が続いています。体調を崩された方も少なくないのでは
無いでしょうか。
去年は、暑くなりそのまま夏に突入したようなイメージがあります。私は去年、京都で
生活をしていました。確かもう5月の終わりくらいには冷房を入れてしまう程、暑かった
と思います。そのような中、私は急遽法話をしなければならなくなり、お話をさせていた
だきました。
その法話のテーマは『足るを知る』でした。充分であることを分かる。ということなので
すが、その時は5月、自分の法話で頭がいっぱいな私は暑いと思い学校の講堂に冷房を入
れていました。話が終わり、先生に法話の公表をしてもらうときに言われた言葉は、講堂
には冷房が入っていたけれど、窓や障子を開ければ充分涼しい風が入ってきて気持ちいい
季節ですね。というものでした。私は、自分の目の前の仕事をこなすことだけを考えて、
他の所まで目が向いていなかったのです。自分の法話のテーマと、行動がちぐはぐでした。
この思い出でショックだったことは、この法話をきっかけに一時期冷房禁止令が出たこと
ですが、今考えてみますとそれも、足ることを知るという点に繋がっているようにも思い
ます。このようなことを考えていますと、現在いわれている『エコ』や『もったいない』
ということはとっても仏教的な考え方のように思います。必要ないものなど無く、一つ
ひとつが大切であるということなのです。
そこから、暑いといって冷房を入れるのではなく窓を開けて外の空気を入れてみるなど、
寒いからといって暖房を入れるのではなく一枚多く着てみるなど工夫してみると、私たち
は色々な有り難さに気付くことができます。
求め始めると、色々なものが欲しくなる私であります。これを仏教では貪欲といい、むさ
ぼりの心のことであります。何もこの心がいけないので無くさなければいけないのではな
く、私にはこういった心が有るのだと気づかせていただくことが、とても大切なのです。
今年の気候から、自分の行動を見つめさせていただきました。尊いご縁ありがとうござい
ました。
次回のテープの交換は6月1日です。