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平成23年6月16日〜

帰敬式(おかみそり)
はい、長念寺テレホン法話です。
 山伏弁念。占いやまじない祈祷などを否定する親鸞聖人の存在を疎んじ、聖人の殺害まで試みようとしたにも関わらず、一度の出会いで聖人の弟子となり、念仏者として生涯を終えました。弁念は、聖人から明法という法名を賜ったとのことであります。親鸞聖人のお手紙の中に、明法房のお名前が出てきます。
 法名とは仏弟子としての名乗りであります。山伏弁念は、明法と名乗ることにより親鸞聖人の弟子になりお念仏のみ教えに生きるものとしての自らの立場を、周囲に明らかにしたということができると思います。弁念にとって、それまでの山伏としての社会的な実績や知名度を放棄したのですから、そうとうな覚悟であったことと思います。まさに、回心の表明であります。
 法名の習慣は、現代でも残っています。私たち僧侶は、得度をして、僧侶になるとき法名をいただきます。門徒の立場でも、ご本山で帰敬式を受けご門主から法名をいただくのが浄土真宗本願寺派としての正式なあり方になっています。
 帰敬式は、「おかみそり」とも言います。僧侶が得度のとき、髪を剃ることに因んでいるのですが、門徒の場合は、髪を剃ることはしていません。剃刀をあてる儀式をおこなうことにより「おかみそり」を行うのです。
 本山では、毎日帰敬式が執り行われています。法要に臨むのとは異なり、独特の緊張感を伴った儀式です。私も何度もご門徒の受式に付き添いましたが、意義のあるとても良い儀式だと思います。帰敬式を受けご門主さまより法名をいただくことにより、さらに、念仏者としての自覚を持ち、門徒ととしての生活をしていっていただくことを願っています。
 法名といいますと、現在では、亡くなられた方につける名前と勘違いされている方が多いと思います。せっかく帰敬式でいただいた法名も、お仏壇の引き出しに収められたままになるのは残念です。自身のこころの内面での名乗りで良いとの考え方もあろうかと思いますが、宗門内で、法名を生かす(法名を名乗る)ことができる何らかの方法があってしかるべきだと思います。
 帰敬式を是非多くの方に受けていただきたいと思います。現在、ご本山では親鸞聖人750回大遠忌法要が勤修されています。50年に一度のこのご勝縁に帰敬式を受けることができるということは、さらに大きな意味があることと思います。
 次の法話テープの交換は7月1日です。