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 はい、長念寺テレホン法話です。
 今年は、早々と梅雨があけ、東京のお盆は猛暑の中ということになりました。夏の風物詩である花火大会は、その多くが東日本大震災に配慮して早々と中止になりました。夏祭も中止したり縮小しているところが多いと聞きます。さて、盆踊りはどうなるのでしょうか。
 盆踊りは、町会など、小規模な単位で実施しているところが多く、小回りが利くので、実施するか否かの判断は間際まで持ち越されているところも多いのではないかと思います。私は、是非実施してほしいと思っています。
 もともと盆踊りは、その名の通り、お盆に因んだ行事です。祝祭的な雰囲気がありますが、死者への弔いの意味合いもあり、もともと寺の境内で行われていたものが一般化したものといっても良いでしょう。
 そのいわれには、このような伝説があります。
 お釈迦さまの十大弟子の一人である目尊者が、その神通力を持って亡き母を訪ねたました。すると母親は、地獄に落ちて苦しんでいたのです。我が子かわいさのあまり欲に執らわれ、その結果、地獄に落ちてしまったのです。目蓮尊者は驚き、お釈迦さまに相談をします。お釈迦さまの導きにより、目蓮尊者は、多くの出家者や周りの人々に食事を供して供養をし、また施しをします。そのことにより、地獄の亡者となっていた母親は極楽に生れることができるのです。
 目蓮尊者は、母親が極楽に生れたことを神通力によって確認すると、よろこびのあまり踊り回ったということです。それが、盆踊りの始まりだと言われています。
 この伝説の内容は、真宗的ではありません。このお話の根拠は『盂蘭盆経』というお経で、実は中国で作られた偽経(偽のお経)です。その内容は、仏教を背景として儒教の倫理観が説かれているものであり、日本においても通俗的には人気を得たお経でありました。
 ただし、私たちはこの伝説にこだわる必要はありません。先祖祭りの風習であるお盆、この時期は、江戸の昔でも奉公人も公に休暇をもらえる時でありました。どの家でも親族が集まるこの時期、盆踊りは大切な地域の憩いの機会であったのです。ですから、盆踊りは、お寺の境内にとどまらず、あらゆる広場に広がり定着したのだと思います。
 今年は、東日本大震災被害者の追悼の思いを加味して盆踊りをすべきでありましょう。
 次の法話テープの交換は8月1日です。

平成23年7月16日から

盆踊り