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平成24年4月16日から

私の前に道がある
 はい、長念寺テレホン法話です。
 仏教の最終目標は、私が仏になるということ、すなわち悟りを開くというこ
とです。悟りを開くということは、真実を知るということです。しかし、煩悩
にまみれた私たちにとりましては、それは非常に難しいことであります。
 前回、親鸞聖人が、私たちが真実を知るための一番早道として、「阿弥陀さ
まの願いの生起本末を繰り返し聞くこと」であると示されたことを紹介しまし
た。
 阿弥陀さまが、仏さまになるために人々の姿をどのように見られ、どのよう
な修行をして、どのような仏さまになられたのか。物語を通して、阿弥陀さま
の願いの真実に向き合うことが、まさに私の真実を知ることができると言うこ
とです。
 仏教では、すべてのものが縁起の法則によって成り立っていると説きます。
生物であろうと無機物であろうとすべてです。また、心のありようも、人生の
苦楽も、みな縁起の法則で成り立っていると説きます。ですから、唯一絶対神
による天地創造のようなことは説きませんし、因果の法則を無視した奇跡など
も説きません。
 お釈迦さまは、今からおよそ二千五百年前の方であるにも関わらず、その教
えは科学的な思考に基づいているということができると思います。お釈迦さま
は、その悟りの内容について、「私の前に道があった」と説かれています。私
が作り出したとは申されておりません。そして、お釈迦さまは、前を歩んで行
かれた真実を究めた仏さまについて説かれているのです。
 お釈迦さまは、悟りを開かれたとき、その内容を人々に語ることを躊躇され
たといわれています。内容が難解すぎて理解できずに誤解されてしまうだろう
と思われたからです。しかし、梵天のお勧めによりお釈迦さまは、法を説くこ
とを決意されます。その説法は、人に応じて分かりやすく説かれたため、「対
機説法」といわれています。
 お釈迦さまは、阿弥陀さまにつきましても、仏さまになられた経緯を因果の
法則に基づいて説き示してくださっています。親鸞聖人は、「弥陀の五劫思惟
の願をよくよく案ずれば、ひとへに親鸞一人がためなりけり。されば、それほ
どの業をもちける身にてありけるを、たすけんとおぼしめしたちける本願のか
たじけなさよ(歎異抄)」と述懐されています。
 親鸞聖人は、ご自身の経験を通して、私たちに、「阿弥陀さまの願いの生起
本末を繰り返し聞くこと」が一番だよと示されているのです。
 次の法話テープの交換は5月1日です。