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平成24年8月16日から

オリンピックと国の威信
 はい、長念寺テレホン法話です。
 ロンドンオリンピックが終わりました。夜中にライブ中継を見ていたわけではないのですが、何となく寝不足です。
 サッカーは男女とも、女子バレーも楽しい思いをさせていただきました。特に男子サッカーの中盤までの活躍は痛快でした。4年に1度のオリンピックでは、どの競技も、厳しい練習の積み重ねは当然のことながら、体調を万全な状態で維持し体力・精神力を競技当日に最高の状態にもっていける人のみが勝利できるのです。柔道やレスリングなどの格闘技は、一瞬の隙が勝敗を分けます。あらためて選ばれたスポーツ選手たちに敬意を表してしまいます。
 日頃の運動不足で体力にも精神力にも自信のない私は、テレビ桟敷にいながらいつの間にか力が入り、一緒になって身体が動いてしまいました。そのせいかすっかり疲れてしまいました。選手の爪の垢でも煎じて飲まなければなりません。
 どの選手も国を代表してきています。国の威信を背負うというような側面が無きにしも非ずで、特に選手よりも観戦する側はその傾向が強くなってしまう嫌いがあります。選手には、もっと純粋に競技ができるようになれば良いと思いますが、スポーツであるからこそ選手も観客も楽しむことができるのでありましょう。
 オリンピックの最中に、韓国のイ・ミョンバク大統領が日韓両国が自国の領土であることを主張している竹島に上陸しました。領土問題で国民のナショナリズムを煽り政治利用するのは、私には時代後れの感覚と思えてなりません。たまたま、男子サッカーも女子バレーも銅メダルをかけての3位決定戦が、日韓戦でありました。誰もが、心のどこかに陰鬱な感覚をもって応援したのではないかと思います。国家の代理戦争を戦ったことにされてしまっては、選手たちには気の毒としか言いようがありません。韓国の選手の中には、Jリーグの中でなじみのある選手が何人もいました。スポーツに国境はなくなりつつあります。
 領土問題は、大変難しい問題です。しかし、楽観的に過ぎるかもしれませんが、領土問題を今すぐ解決できなくても、スポーツや文化からはじまって、経済的にも国境を意識する必要のない時代がくれば、領土など意識する必要がなくなるのではないかと期待をしています。
 仏法を聞いていますと、仏さまのお浄土には国境などというものはありません。ところが、ものに執着をしなければ生きていけない凡夫であるわたしたちは、どうしても意識しがちです。私たちは冷静になって、今解決する必要のない問題として将来に期待するのがベターなのではないかと思っています。
 次の法話テープの交換は、9月1日です。