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平成25年2月15日~

念仏を非難妨害するひとを憎まない
 はい、長念寺テレホン法話です。
 親鸞聖人ご消息第28通をさらに読み進めてまいります。
 善鸞さんのお手紙によって、関東のお弟子の一人である信願坊が、阿弥陀さ
まがどんな悪人でも救うからと言い、好き勝手に悪行(ひがごと)をすること
を勧めており、信願坊の周りにはものに狂って死ぬなどよくないことが多く起
こっているとの情報が伝えられます。
 しかし、親鸞聖人のお手紙を読み進めていきますと、「信願坊が申しやふと
はこころえず候ふ」と、本当にあの信願坊がそのようなことをいっているのだ
ろうかと、疑問をさしはさんでおられます。「往生の邪魔にはならないから、
ひがごとを気ままに行ってもよい」などという話はお互いにしたこともない。
「全く覚えのないことだ」と記しておられ、聖人ご自身の強い驚きが伝わって
まいります。
 事実は、親鸞聖人の信願坊に対する信頼感が正しかったのですが、このお手
紙では、善鸞さんからの伝えられた情報に基づいて、善鸞さんに今後の対処の
仕方を伝えます。
 まず、現状を次のように分析します。
 「よくよく考えてみれば、心得違いのことを言う人は、その人だけがその罪
の償いを受けなければならないことであります。ですから、他の念仏者にとり
ましては、別にさまたげとなるものではありません」
 そして、中国の善導大師やお釈迦様の言葉を引用して、心得違いのことを言
う人はどの時代にも必ず出てくるものであり、念仏を止めさせようと妨害した
り、念仏者を憎む人も出てくるものであろうことはすでに明らかにされている
ことで驚く必要もないとしています。
 そして今後の対処法としては、念仏を非難妨害するひとを憎んだり非難する
ことをせずに、お念仏のみ教えを広めていくことに専念すべきであるとみなで
確認しあいなさいと示されています。
 第28通は、とりあえずここで終わります。あまり長くはないお手紙です
が、親鸞聖人の善鸞さんに対する愛情といったら良いのでしょうか、細やかな
気遣いが伝わってくるお手紙であります。お念仏の御教えを伝える上でのある
べき姿を、仏教の基本に立ち返えりながら、手取り足取り伝えていく温かみを
感じます。
 次は、追伸部分を読んでいきます。
 次の法話テープの交換は3月1日です。