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平成25年4月15日から

子どもと法事
 はい、長念寺テレホン法話です。
 最近、法事で小さなお子さんにまつわる印象的な出来事が2回ありました。
 あるお宅のお通夜の法要でした。お通夜では、親族のみなさまにお経本をお配りし、一緒に『正信偈』をお勤めしていただくようにしています。お経が始まりましたら、後ろから小さなお子さんの通る声で調子外れの突拍子もない声が響いてきます。一所懸命フリガナを追って正信偈のお勤めをしているのです。私は、その声を聞いて、「オッ、やるな。頑張れ」と思っていました。
 しかし、それもはじめのうちだけで、いつの間にか気にならなくなってしまいました。私は、親御さんたちが周囲に気づかってその子を連れて外に出てしまったのかと少々残念な気持ちでおりました。
 ところが、お経が終わって振り返ると、その子はその場にいます。お斎の席で、その子のお祖母さまが、「最後までよくお勤めできたね」とほめています。実は子どもなりに、周りの大人たちの声を聞いて、その音に合せ、リズムにも音程にも慣れたため目立たなくなっていただけだったのです。
 その子にとっては、曾祖母さんのお通夜。「曾祖母ちゃん、すごく喜んでいるよ」と話しかけたらはにかみながらうれしそうにしていました。そしてそれにもまして隣にいたお母さんがとてもうれしそうなお顔をしていました。
 もう一件も、お子さんにとって曾祖母さんの初七日の法要。やはり一所懸命『正信偈』をお勤めしてくれました。お祖父さまが、たいそう喜んでおられました。
 人の一生の中で家の仏事にあう機会は、そうあるものではありません。その機会を、小さなお子さんであったとしても、是非参加させていただきたいと思います。年齢によっては迷惑がかかるのではないかと気遣いされる場合もあろうかと思います。私も、お経が終わり法話をさせていただこうと思ったときに、絶妙のタイミングで「もう終わり?」と言われて笑ってしまったことがあります。そのような幼い子も、次の法事のときには、静に法要に臨み、成長を感じさせられたものです。
 法事や葬儀などの仏事は、故人を縁として仏法に会わせていただく大切な機会であります。また、その機会に、私たちが守ってきた大切な心を次代に伝えていく絶好のチャンスであるとの目的をもって臨むことも大切だと気づかされたことでありました。
 次の法話テープの交換は、5月1日です。