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平成25年7月1日

お寺と子ども
 はい、長念寺テレホン法話です。
 先日、保育園の年長組さんのお泊まり保育がありました。長念寺本堂での宿泊保育です。後援会であるいちょうの会のみなさまにお手伝いをいただいて、キャンプファイヤーや花火などもします。境内に、子どもたちの楽しそうな声が響いていました。
 金子みすゞさんも、お祖母さんに連れられてお寺に通っていたとのこと。みすゞさんの詩には、仏教の教えに根ざしたこころがうたわれています。みすゞさんは幼いころ、お寺でこのような話を聞いていたのだと思います。
 「私たちは、なかなかお互いに他を認め合って生きていくことができません。考え方の違う人や、弱い立場の人をことさらに貶めるようなことがよく起こります。私たち凡夫は、怒りや腹立ちやそねみやねたむ心が多く、とどまることを知らないからです。でも、『阿弥陀経』というお経に説かれている仏さまの世界では、青い色は青く、黄色は黄色、赤は赤、白は白と、それぞれ光り輝いているとのことです。それぞれが独自の特徴を発揮して、輝いているのです。それぞれ違った性質を持っていても、それぞれが力を発揮できる、とても良い世界なのです」
 金子みすゞさんのすばらしさは、仏教の御教えを自身の言葉にかみ砕いて歌っていることです。
  「みんなちがって、みんないい」
 みすゞさんは、全ての人やものが輝くすばらしい情景を、みすゞさんの心から溢れたことばによって「私と小鳥と鈴と」という詩に、見事に表現しています。だれもがすなおに納得できる世界を築いています。そこでは、みすゞさんの言葉を通して、教えがあらためて普遍化されていると言ってもよいでしょう。金子みすゞさんの詩は、浄土真宗という枠にとらわれることなく広く受け入れられています。ありがたいことであり、またとても素敵なことだと思います。
 山口の旅で思いがけない出会いがもうひとつありました。宿泊した旅館で私たちの担当をしてくださった仲居さんが、食後のことばの後で「私もみなさんと同じ歌を知っていますよ」と言い、恩徳讃を歌いだしました。宴会の締めくくりが恩徳讃の合唱になりました。
 幼いときから、お寺に親しみを持つということはとても大切なことだと思います。子ども会などに参加をしていただくことが理想だとは思いますが、法事などの行事のときに一緒にお参りをすることも大切なことです。大人たちがお参りをしている姿を、子ども心にどのように見ているのでしょうか。とても楽しみなことです。
 次の法話テープの交換は7月16日です。