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平成25年9月15日~

東京オリンピック招致決定
 はい、長念寺テレホン法話です。
 7年後2020年に東京でオリンピックとパラリンピックが開催されること
になりました。東京電力福島第1原発の汚染水問題で、不利と伝えられていた
中でのオリンピック招致決定は、日本にとってとても明るいニュースでありま
した。
 オリンピック開催となりますと、施設整備など大きな事業が行われるため、
経済の活性化などに目が向きます。
 しかし、この7年間で解決しなければならない喫緊の課題があるのも事実で
す。
 まず、福島第一原発事故の処理の問題です。阿部首相は、招致のプレゼンで
大見得を切ったのですから、科学の粋を結集して真の収束を目指していただか
なければなりません。
 もう一つは、韓国・中国など近隣諸国との関係改善です。ニュースを見てい
ますと、それぞれの国で政府が国民感情を気にしながら、ますますかたくなな
行動をとらなければならない状況に追い込まれているような報道がなされてい
ます。
 考えてみますと、ここ1・2年で私たちの韓国・中国に対する評価は極端に
下がった気がいたします。以前は、ドラマなどで中国に留学した日本人学生
が、学生仲間から自分が生れるよりずっと前に起こった戦争のことで糾弾され
戸惑う場面があっても、それを乗り越えて友好を深めていく姿に共感したもの
でありました。しかし、現在では、日本に対する悪感情の場面ばかり繰り返し
て見ていますので、私たち自身がいつの間にか冷静さを失いつつあるのではな
いかと思うことがあります。
 マスコミも、ことさらに悪感情を煽る報道をします。そのような記事を読む
ときの自分自身の感情を振り返り、もっと冷静にならなければいけないと思う
ことがままあります。
 親鸞聖人は『一念多念証文』に
 「凡夫といふは、無明煩悩われらが身にみちみちて、欲もおほく、いかり、
はらだち、そねみ、ねたむこころおほくひまなくして、臨終の一念にいたるま
で、とどまらず、きえず、たえず」
と示されています。ことさらに悪感情を煽る報道に接すると、いつの間にか、
心が乱されていることを実感いたします。このような心を巧みに利用するのが
政治です。韓国も中国も、そして日本も。
 よかったことを過大評価し、悪かったことは早く忘れようとするのが人間の
姿です。ひとを責めるのは楽しいことで、エスカレートしやすいものです。し
かし、それは本当は空しいこと。「煩悩がみちみちた世界であると」仏教は説
いています。
 こころからの「おもてなし」ができるオリンピックにしたいものです。
 次の法話テープの交換は10月1日です。